大手企業に頼らない安心?Web3が変える個人情報の守り方
これまでのインターネットと個人情報:お任せの安心と不安
私たちは普段、インターネットで買い物をしたり、家族や友人と連絡を取り合ったり、写真を見せ合ったりと、様々な便利なサービスを利用しています。これらのサービスの多くは、大きな会社が運営しており、私たちの名前や住所、電話番号といった「個人情報」を預かっています。
まるで、大切な通帳や印鑑を銀行に預けるような感覚かもしれません。銀行は私たちの財産をしっかり管理してくれますから、安心して預けられます。インターネットのサービスも同じで、私たちの個人情報を大切に管理してくれると信じて利用しています。
しかし、時々ニュースなどで「〇〇という会社から個人情報が漏れてしまった」という話を聞くことがあります。これは、私たちの情報がたくさんの人に見られてしまったり、悪いことに使われたりするかもしれない、という不安につながります。インターネットが便利になればなるほど、こうした不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
これまで私たちは、自分の大切な情報を、大きな会社に「お任せ」してきましたが、もしその会社が狙われたり、情報が正しく管理されなかったりしたらどうなるだろう、という心配がつきまとっていたかもしれません。
Web3(ウェブスリー)が目指す新しい個人情報の考え方
では、「Web3」と呼ばれる新しいインターネットの仕組みは、この個人情報の管理について、どのような考え方を持っているのでしょうか。
Web3の大きな特徴は、「特定の大きな会社に情報を集中させず、みんなで少しずつ情報を管理する」という考え方です。例えるなら、これまでは大切なものを大きな会社の金庫に預けていましたが、Web3では、ご自身の金庫をあなたが自分で持ち、その金庫の鍵をあなた自身が管理する、というイメージに近いかもしれません。
具体的には、Web3ではあなたのインターネット上での活動の記録や、あなたの所有物(例えば、特別な写真や記念品のようなもの)が、特定の会社ではなく、世界中のたくさんのコンピューターに「みんなで確認できる形で」記録されます。この記録は、一度書き込まれると後から書き換えたり、消したりすることが非常に難しい仕組みになっています。まるで、たくさんの人が同時に見ている公開された日記のようなものです。
これにより、何が変わるのでしょうか。
- 情報漏洩のリスクが減る可能性: これまでのように、一つの大きな会社に全ての情報が集中していると、そこが狙われると大量の情報が漏れてしまう危険がありました。Web3では情報が分散して記録されるため、特定の場所を狙っても、まとめて情報が盗まれることが難しくなります。
- 「私自身の情報」という感覚: あなたがWeb3の世界で何か新しいサービスを使う時、これまでのように毎回氏名や住所などの個人情報を入力する必要が少なくなる場合があります。あなた自身が持つ「デジタルな身分証明書」のようなもので、必要な情報だけを相手に伝える仕組みが作られつつあります。これにより、「自分の情報は自分でコントロールしている」という感覚がより強くなります。
Web3だからこその注意点:自分の鍵を大切に
Web3は、これまでのインターネットにはなかった新しい「安心」の仕組みをもたらす可能性があります。しかし、同時に「自分で管理する」ことの責任も伴います。
先ほどの「ご自身の金庫の鍵」のお話ですが、この鍵をもし誰かに知られてしまったり、なくしてしまったりすると、せっかく自分で管理している大切な情報や財産が、他人の手に渡ってしまう危険があります。Web3の世界では、この「鍵」にあたるものが非常に重要になります。
また、新しい技術や仕組みには、それを悪用しようとする人もいます。例えば、あなたの「鍵」の情報を聞き出そうとする詐欺や、本物そっくりに作られた偽のサイトであなたをだまそうとする手口などが考えられます。
まとめ:新しい安心と、変わらない大切なこと
Web3は、これまでのインターネットの「お任せ」から「自分で管理する」という、プライバシーの考え方を大きく変えようとしています。これは、私たちがこれまで抱えていた個人情報に関する漠然とした不安を減らし、より安心感を持ってインターネットを利用できる未来に繋がるかもしれません。
しかし、どんなに技術が進歩しても、大切なことは変わりません。それは、「怪しい話には耳を傾けない」「知らない人からの連絡には注意する」「大切な情報を人には教えない」といった、私たちの日常生活でも当たり前のことです。
Web3の新しい仕組みを理解することは、これからのデジタル生活をより安心して送るための第一歩となるでしょう。もしご不明な点がありましたら、ご家族や信頼できる方に相談しながら、少しずつ新しい世界に触れてみるのも良いかもしれません。